この間、中三の生徒に学校の宿題の評論文の問題を解かせていた時のことです。本文は「サルは同じ群れの中でしか行動せず、他の群れとの交流はほとんどもたない社会性の少ない動物である。最近の人間の若者にもそういった傾向がある」というような内容でした。

「せんせーい、ここがちょっとわからないんだけど」
「どこどこ」
「ここなんだけど、なんでサルに近づくとおじいちゃん家に帰っちゃうの?」
「サルに近づくとおじいちゃん家?そんなの書いてあったっけ」
「ほらここに先祖がえりって」
「……。あのね、人間はサルから進化したっていうのは知っているでしょ。ここでの先祖って言うのはサルのことだよ。だからサルにかえった。つまり、最近の若者はサルみたいに社会性がなくなってしまったって言いたいんだよ」
「あー、そういうことなんだ。おじいちゃん家に帰るんじゃないんだ」
「確かに一番身近な先祖といえばおじいちゃんかもしれないけど、おじいちゃん家に帰るのは普通「里帰り」って言うんだよ(笑)」
「あーそれだ、それと間違えた(笑)」

一件落着でした。

広辞苑によると「先祖返り」とは
生物が進化の過程で失った形質が子孫において突然現れること。隔世遺伝。
だそうです。サルのように退化してしまったというような意味で現代文でもちらほら見かけますね。覚えておきましょう。
ちなみに英語では atavismとかreversionとか言うみたいですね。